はじめに
「インターネットのパスワードが多すぎて、どれがどれだか分からなくなってしまった」。
そんなお悩みをお持ちの方は、とても多いのではないでしょうか。ご家族から「同じパスワードにしておけばいいよ」と言われて、迷われたことがあるかもしれません。
最近は、ニュースなどで企業の個人情報流出や不正アクセスの話題を聞くことも増え、「自分の情報は大丈夫かしら」と心配になりますよね。
実は、パスワードの管理は、むずかしい機械の知識がなくても、一冊のノートと少しの工夫で、ぐっと安全に、そして楽になります。
この記事では、次の3つをやさしくご紹介します。
- 同じパスワードを使い回すと、なぜ心配なのか
- 紙のノートを使った、安全で迷いにくい管理のしかた
- 覚えやすく、他の人に推測されにくいパスワードの作り方
ご本人はもちろん、ご両親やおじいさま・おばあさまのパスワードの悩みを手助けしたいご家族の方にも、お役立ていただける内容です。
なぜ同じパスワードの使い回しは心配なのか
同じパスワードをいくつものサービスで使っていると、ひとつのサービスから情報がもれたときに、ほかのサービスにも不正にログインされてしまう恐れがあります。
たとえば、買い物サイトのパスワードがもれてしまったとします。同じパスワードをメールやネットバンキングにも使っていると、そちらにも悪用される可能性があります。
家の鍵にたとえると
パスワードは、家の鍵によく似ています。
| 管理のしかた | 家の鍵にたとえると | 起こりうること |
|---|---|---|
| すべて同じパスワード | 玄関も、寝室も、金庫も、全部同じ1本の鍵 | 1本盗まれると、すべての部屋に入られる恐れがあります |
| サービスごとに違うパスワード | 部屋ごとに別々の鍵 | 1本盗まれても、被害をその部屋だけにとどめやすくなります |
特に気をつけたいのは「メール」のパスワード
他のサービスで「パスワードを忘れた」という手続きをすると、多くの場合、メールに連絡が届きます。そのため、メールのパスワードを盗まれると、ほかのサービスの手続きまで悪用されやすくなります。
メールのパスワードは、ほかのサービスとは別のものにしておくと、安全性を高められます。
IPAも紹介する「紙のノート」を使った安全な管理術
パスワードの数が増えると、すべてを頭で覚えるのは大変です。IPA(情報処理推進機構)は、パスワードを「長く・複雑に・使い回さない」ことを基本としたうえで、覚えきれない場合は、自宅で保管するノートなどインターネットにつながらない形での記録も案内しています。
スマホのメモ機能より、ノートがおすすめな理由
- 紙のノートは、インターネットにつながっていないため、ネット経由で見られる心配がありません
- スマホのメモや、ご家族と共有しているフォルダに書くと、思わぬ形で他の人の目に触れる可能性があります
- 使い慣れた紙なら、ご自身のペースで確認でき、操作に迷いません
見られても安心な「目印方式」の書き方
IPAは、次のように役割を分ける方法を紹介しています。
- 覚える部分(コアパスワード):頭の中だけで覚えておく、共通の部分
- 書く部分(目印):サービスごとに違う、ヒントになる言葉。こちらだけをノートに書く
つまり、パスワードそのものはノートに書かず、「目印」だけを書きます。 ノートを誰かに見られても、目印だけでは、パスワードの全体が分かりにくくなります。
| 書き方 | ノートの記入例 | 見られたときの安心度 |
|---|---|---|
| パスワードをそのまま書く | 楽天/Asa-Wa-Ryoku7a!Sanpo | そのまま使われてしまう恐れがあり、おすすめできません |
| 目印だけを書く | 楽天/目印:飼っていた犬の名前+好きな花 | 意味が分かりにくく、安心です |
ノートの基本の書き方
サービス名・ログインID・目印・更新日を、表のように並べて書きます(以下は架空の例です)。
| サービス名 | ログインID | 目印 | 更新日 |
|---|---|---|---|
| 楽天 | hanako2020 | 飼っていた犬の名前+好きな花 | 2026年10月 |
書くときのポイントは次のとおりです。
- ノートには、パスワード全体を書きません。「目印」だけを書き、共通の部分は頭で覚えます
- 目印は、本人だけが分かる組み合わせにします。たとえば「飼っていた犬の名前+好きな花」のようなものです
- 他の人が見ても意味が分からない形にします
ノートの保管場所の注意点
- 鍵のかかる引き出しや金庫にしまいましょう。総務省も、やむを得ずメモをする場合は、鍵のかかる机や金庫などでの保管を案内しています
- 電話機のそば、パソコンの近くなど、すぐ見える場所には置かないようにします
- スマホのメモや、共有フォルダには書かないようにします
覚えやすく、推測されにくいパスワードの作り方
IPAは、パスワードを最低10文字以上、できれば15文字程度にし、大文字・小文字・数字、さらに可能であれば記号も混ぜることを案内しています。反対に、次のようなものは避けましょう。
- ご自身やご家族のお名前
- 生年月日、電話番号
- 簡単な英単語
長くて複雑でも、ご自身の好きな言葉からなら、無理なく覚えられます。次の4つのステップで作ってみましょう(以下は例です。そのままは使わないでください)。
- 自分だけの長いフレーズを決めます 例:「朝は緑茶と散歩が好き」
- 頭文字や一部を、ローマ字などに変えます 例:AsaWaRyokuchaToSanpoGaSuki
- 数字や記号を足します 例:Asa-Wa-Ryoku7a!Sanpo
- サービスごとに、ノートの「目印」から決めた文字を足します これで、サービスごとに違うパスワードになります
ステップ1〜3でできた部分が、頭の中だけで覚える「コアパスワード」です。ステップ4の「目印」だけをノートに書いておけば、思い出す手がかりになります。
シニア世代・ご家族からよくある質問
Q1. 紙に書くのは危険ではありませんか?
パスワードをそのまま書いてしまうと、見られたときに心配があります。そこでIPAは、「コアパスワードは頭で覚え、目印だけを紙で管理する」方法を案内しています。さらに、鍵のかかる場所に保管すれば、無理なく続けやすく、安全性も高められます。
Q2. パスワードは定期的に変えたほうがいいですか?
総務省の案内では、パスワードがもれた事実がなければ、定期的に変える必要はないとされています。それよりも、サービスごとに別のパスワードを設定することを優先しましょう。
Q3. 家族にパスワードを教えておくべきですか?
パスワードそのものではなく、「ノートの保管場所」と「ノートの使い方のルール」を、信頼できるご家族に伝えておく方法が安全です。万一のときにも、ご家族が落ち着いて対応しやすくなります。
まとめ:今日からできる小さな一歩
パスワードの管理は、むずかしく考えなくても大丈夫です。大切なポイントは次の3つです。
- 同じパスワードを使い回さず、サービスごとに変える(メールは特に別にする)
- 覚えきれないときは、紙のノートに「目印」だけを書き、鍵のかかる場所に保管する
- 長めのパスワードは、好きなフレーズから作ると覚えやすい
まずは、よく使うサービスを3つだけ選んで、ノートに書き出してみてください。小さな一歩から始めることで、ご自身にもご家族にも、安心につながります。

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